ここ山形県の庄内地方では、『今年は、三隣亡(さんりんぼう)だから家の新築は、来年にする。』などと言う会話が時々されます。即ち、今年一年間は、住宅建設をしては、いけないという因習が未だに続いています。

 我々住宅建築に携わるものしては、非常に困った因習です。

 三隣亡とは、選日の一つです。棟上げなど建築に関することの凶日とされています。その字面から、この日に建築事を行うと、三軒隣まで亡ぼすという迷信があります。

 三隣亡は、少し前までは建築関係者の大凶日とされ、棟上げや土起こしなど、建築に関することは、一切慎むべき日とされました。高い所に登ると怪我をすると書いてある暦もあります。

 三隣亡の日取りは二十四節気を元にした節切りで、例えば1月は立春の日から啓蟄の前日までを指します。即ち日の三隣亡は、あっても年の三隣亡はないのです

 郷土史家の田村寛三氏は次のように説明しています。

 ≪もともと、「山林防」と書き数年に一度は山林を切らないで保護しようとしたものです。しかし、実行されないため世間体を気にする日本人の習性を考えて、ある為政者が三隣亡としたところ、抜群の効果を発揮し、今日に至っております。本来は「日々是好日、東西南北無し」です。いたずらに因習に惑わされず、明るく正信に行きましょう。≫
  

 このように、年の三隣亡とは、根も葉もない迷信である事がお解かり頂けたと思います。

 我々、住宅建築携わる者たちが、積極的にこのような因習を変えて行くよう努力していく必要があると思います。

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