住宅性能

外張り断熱の安全性は?

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社団法人 日本建築士会連合会で毎月だしている会報の2009年3月号に室蘭工業大学の鎌田紀彦教授の寄稿がありました。

その中で、外張り断熱の危険性について、改めて書いてありましたので紹介したいと思います。


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新住協提供




寄稿内容(一部抜粋)

外張り工法の普及は進むが火災時の安全性は?


3年ほど前に、秋田市内の住宅地で外張り工法の住宅が全焼して、家族4人か死亡するという悲惨な事故が起こりました。

私は、この家事現場を調査する機会を得て、私が代表理事を務めるNPO法人新木造住宅技術研究協議会(新住協)のセミナーで報告しました。

この住宅が、発泡断熱材の中ではもっとも燃えにくいとされる、フェノール発泡断熱材による外張り工法であったため、この工法の採用している会員にとっては大きなショックであったようです。

この火事で4人が死亡することになった原因は、内装に石膏ボードを使わず、天井、壁ともパイン材の羽目板だったため、火事が急拡大したこと考えられます。

しかし、火災の後半には、窓からの猛烈なフラッシュオーバーによって、隣家の屋根鉄板が加熱し、野地板から出火し延焼したことが、大きな問題と感じられました。

写真1の右側に庇の見えている家です。


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写真1



また、窓からの炎で、通気層から火が入り、外壁の外張り断熱材が、ほとんど燃えています。

このことが、火災が異常に大きくなった原因と考えられます。

関東から関西にかけて、近い将来、大地震が起こると予想される中で、こうした工法の住宅が普及していくことに大きな危惧を抱いています。

EU(ヨーロッパ)では、火災時の安全性を考慮して、建築に使われるすべての建材を七段階に分け、低い性能の建材の使用規則が始まっています。

日本の建築基準法は、木造住宅の外からの火災延焼には厳しく対処してきましたが、内部からの火災安全性にはほとんど規制がありません。

今後検討すべき大きな問題です。




以上のような内容です。



火災を絶対に防ぐことは出来ません。

しかし、万が一の火災のときに、人間が逃げられるだけの時間を与えることができる住宅でなければなりません。

火災時、多くの人間は、火災の炎で焼け死ぬのではありません。

煙に巻かれて、逃げ遅れて死に至るのです。

住宅資材に不燃材料を出来るだけ使用することは、私達の使命ではないでしょうか。


by kakizaki


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住宅は日々進化しています。1

 私が、自分の住宅を建てたのが、平成8年12月ですので、丸11年になります。
その当時は、もうすでに高断熱高気密住宅は、ありましたが、結構値段が高くて、まだまだ一般的では、ありませんでした。

 当時は、前の会社のサラリーマンでした。

 私は、どうせ自分の家をたてるのであれば、実験住宅でもよいので、自分が勉強している高断熱高気密住宅を是非やってみたいと思いました。

 仕事の合間や休日に、現場に行き、自分で、気密シートをはったりと作業して、何とか高断熱高気密住宅を完成させました。(気密は、2.04c㎡/㎡ですので余りよくありません。)

 さぞかし、暖かい住宅が出来たと、喜んでいましたが、実態は、ちょっと違っていました。

 失敗談

 ①サッシの性能が悪くて寒い。

 その当時は、樹脂サッシは、ありましたが、価格が非常に高く、住宅一棟丸々使うという発想はできませんでした。

 私は、当時発売したばかりのアルミのペアサッシを取り付けたのですが、窓は、断熱サッシとは、名ばかりで、隙間は結構あるし結露も頻繁におこりました。

 そして、一番の悩みは、コールドドラフトでした。

コールドドラフトとは、窓辺で冷やされた空気の固まりが、暖房によって下降気流となり部屋を駆け抜ける現象で、脳溢血や冷え性が悪化するなど身体的影響も指摘されています。


 特に、居間の掃きだしサッシの窓のコールドドラフトは、ひどかったです。(丁度、下図のようでした。)

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 ②暖房方法
 暖房は、灯油の温水パネルヒーターを採用しました。

 温水パネルヒーターそのものは、問題ないのですが、冷媒配管が開放式なので、毎年のように、試運転で、エア抜きをしなければいけません。多少の知識があればよいのですが、一般の方がメンテナンスするのは、ちょっと大変です。

 前にブログでも書いたように、熱源は分散しているほうが、良いので、自宅は、ご丁寧にトイレと洗面所にも設置しました。

 良くかんがえると、トイレ・洗面所は、いつも排気する部屋なのでわざわざ設ける必要はありませんでした。結局エネルギーを無駄に捨てている状態です。


img_0413.jpgトイレの中に温水パネルヒーターを設置。結果的には、過剰設備でした。










住宅品質確保促進法を知ってますか?

みなさんは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以下「品確法」)を知っていますか。

2000年4月1日に施行された法律で、質の高い住宅づくりをすすめるためにつくられた法律です。

この法律は大きく三本柱になっています。



①10年瑕疵担保責任制度

住宅は人生で最大の買い物です。それにもかかわらず住宅の瑕疵担保責任期間は、多くは2年程度でした。それが、品確法によって新築住宅は、引き渡しを受けた時から10年間基本構造部分の欠陥には無料補修等を請求することができるようになりました。

 瑕疵担保責任は、業者に対して義務化になっています。よって全ての元請業者が対象となります。

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②住宅性能表示


住まいの性能を、法律に基づいた一律の基準で表示・評価するのが「住宅性能表示制度」です。

この制度は、良質な住宅を安心して取得できる市場を形成するためにつくられたものです。

この制度を利用することにより、多種多様な工法でつくられる住まいを横並びに比較し、自分が必要とする性能を設計者や施工者に的確に伝え、 満足できる住まいを手に入れることが可能になります。

評価や検査のための費用を建て主が負担することになりますが、様々なメリットがあるので、積極的に活用したい制度です。

 この制度は、義務ではなく、任意項目です。

都会では、少しづつこの制度を利用するようになりましたが、地元では、殆ど採用していないのが実態です。

 車の性能をパンフレットで調べる事ができるように、住宅も、性能を表示することができる時代になりました。

 私は、いずれこの地方でも、この制度を使うのが一般的になるだろうと思っています。



住宅性能表示制度における評価項目

住まいの性能は10分野のモノサシではかります


地震などに対する強さ(構造の安定)

火災に対する安全性(火災時の安全)

柱や土台などの耐久性(劣化の軽減)

配管の清掃や補修のしやすさ(維持管理への配慮)

省エネルギー対策(温熱環境)

シックハウス対策・換気(空気環境)

窓の面積(光・視環境)

遮音対策(音環境)

高齢者や障害者への配慮(高齢者等への配慮)

開口部の侵入防止対策(防犯対策)



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③紛争処理体制

 住宅性能表示制度を活用した住宅については万一トラブルが発生した場合、指定住宅紛争処理機関に申請することによって紛争をスピーディに解決することができます。

 裁判で争うより簡略に、かつ費用をあまりかけずに利用できるので、お施主様には、非常にメリットがあると思います。

 但し、②の住宅性能表示制度の「建設住宅性能評価書」を受けた住宅が対象になります。


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                   建設省住宅局HPより



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Q値をださないで高断熱住宅は語れない。

  最近の住宅のチラシに住宅の性能を表す、C値(隙間相当面積)とかQ値(熱損失係数)がでてきます。これは、いったい何を示しているのでしょうか。


C値
   隙間相当面積のことで、住宅の気密性を示す指標。
   住宅全体の隙間面積(c㎡)を述べ床面積(c㎡)で割ったもので、単位はc㎡/㎡です。
   これは、現場で器械を使って測定します。

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   即ち、この数値は、住宅に床面積1㎡当たりどのぐらいの隙間があるかを示しています。
   高気密住宅とは、5c㎡/㎡以下を言いますが、この数値は、かなりあまい数値です。
   基本的には、1c㎡/㎡以下であれば問題はなく、気密おたくみたいに、0.1とか0.2とか数値を追いかけても余り意味がありません。気密住宅であることが確認できれば、基本的にはOKです。


 Q値
   熱損失係数のことで、保温性能を示す指標
   住宅の内部と外気の温度差を1℃としたとき、内部から外部に逃げる時間当たりの熱量を床面積で割ったもので、単位はW/㎡K
数値が小さいほど保温性が高い住宅と言えます

   Q値は、私が大学のときは、電卓片手に細かい計算を時間をかけて、やっていましたが、最近は、QPEXというプログラムを室蘭工業大学の鎌田研究室で開発していただいたので簡単に出せるようになりました。

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       新住協データより

 上図はたQ値を図で表しています。
  床・壁・天井・開口部・換気のQ値の合計し、総熱損失係数をだします。
  この合計がいわゆる、住宅の性能を表すQ値です。
  Q値が2.4とか1.6と言われても、性能が良いのか悪いのかわかりません。
  そこで、具体的に一棟ごと、年間の灯油で何㍑を使うかを出します。
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←Q値1.268























qpex2_2.jpg


















←年間の灯油消費量552㍑






 ここまで出して、はじめてその住宅の断熱の性能が分かります。
Q値は、今回の現場の場合年間灯油消費量552㍑という結果をだすための道具です。
Q値をださないで、高断熱・高気密住宅ですというのは、車でいえば、燃費を示さないで、省エネ車ですと言っているのと、同じことです。
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