住宅会社専用に『日経ホームビルダー』という雑誌があります。私は、創刊号から読んでいますが、住宅産業界のその時々の問題点や今後の動向など、ためになる記事を載せてくれます。

 2007年9月号にオール電化住宅の特集が載っていました。

テーマは、電化住宅の「経済性」と「エコロジー度」は?

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 住まい手に下記の内容を突撃インタビューしています。

 ①オール電化を導入した理由
 ②日常生活はどうかわったか
 ③光熱費の変化は
 ④使い勝手などの感想

 オール電化住宅は、結論からいうと非常に満足しているようです。特に気になる光熱費は、どこの家庭でも下がっているようです。

 しかし、この取材記者は、なんだか腑におちないようです。

 この記者は、こんな表現をしています。

 『インタビューに応じてくれた家庭から電気料金の明細書を借りて検分した。使用量は増えているが、料金は下がっている。これを矛盾とみるか、経済的とみるか・・・』


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 腑におちない理由として、「電気料金は安くなっているが、電気の使用量自体は、増えている。」「エネルギーの使用量と単価の相互関係に、明快さがない点が釈然としない。」をあげています。


 そこで記者は、三つの疑問を投げかけています。

①事業政策的に価格だけ引き下げられているのではないか?

②エネルギーの使用量は減っていないのではないか?

③ひとつのエネルギーに頼っていざというとき大丈夫?



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 次のページから東京電力さんが回答しています。

 「なぜ時間帯で料金が違う?」

 「電気はためることができないため、年間で一番電気が使われる日(真夏の昼間)に合わせて設備をつくっている。だから使用量が少ない季節や夜間は、電気が余りがちで、設備効率も低下してしまう。夏季以外や夜間の電気を少しでも消費してもらうために、季節別、時間帯別に単価を変動させる料金メニューを用意している。」


 取材記者は、この回答に納得したのだろうか?
 
 確かに、設備は、真夏の昼間に合わせているだろうが、だからと言ってそれに合わせて設備を稼動する必要性はあるのだろうか。エネルギーとは、そういうものではないと思います。必要なときに必要なだけ供給すれば良い ので、本来使わなくてもよいエネルギーを率先して使わせる必要性はないのです。

 ましてや、電力会社は、電力同士の競争相手はいません。我々の産業と違って特別に守られている会社です。

 そんな会社が二酸化炭素を多く出す火力発電を夜稼動し、しかも、1/3~1/4の安い値段で、ださなければならない理由は、いったいどこにあるのでしょうか。

 ところで、電力のピークは、真夏の昼間に来ます。これは、一体何故でしょうか。

 これは、冷房稼動に大きく関わっています。
 暖房は、多くの選択肢があります。石油・石炭・ガス・電気・木材などさまざまです。しかし、こと冷房に関しては、選択肢はないのです。全て電気です。電気でしか冷房は、作れません。

 当然そこに集中するのは、当たり前です。

 そこで、全てオール電化住宅になったらどうなるのでしょうか。真冬の夜に電力のピークがくるかもしれません。

 そうしたら、設備の稼動率を上げるために、真夏もっと電気を使うように宣伝するのでしょうか。

 なんだか腑におちませんね


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 次の質問「家庭の二酸化炭素の排出量はどのくらい減るの?」

 回答は
「・・・エコキュートのCO2の排出量は従来型燃焼式給湯器の約半分。・・・・・」とエコキュートの事についてのみ回答しています。

 記者の質問は、オール電化住宅全体としてのCO2の削減につい質問しているはずです。回答になっていません。

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新住協より

 たびたびこのグラフには、登場してもらうのだが、実態は、このように、灯油の暖房・給湯住宅よりオール電化住宅のほうが、CO2を多くだしているという現実があるのです。 

 これが、この記者が

 なんだか腑に落ちない理由だったのです。

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