

今から数年前ですが、あるグラスウール会社主催の講演会が東京でありました。
講演者は、室蘭工業大学の鎌田紀彦教授でした。
そして、特別講演として、俳優の渡辺篤史氏がでてくれました。
皆さんご存知のように、渡辺篤史氏はもう20年以上に渡り、テレビの『建物もの探訪』という番組の案内役として、活躍しています。
多くの住宅を彼なりの視点でみていますので、さぞかし面白いお話が聞けるだろうと思って、わざわざ東京まで、出かけることにしました。
その講演会が始まって直ぐ、渡辺篤史氏がでてきました。
最初にどんなお話が聞けるかと思ってワクワクしていると、いきなり彼は、
『失敗しました』
と言い放ったのです。
何の事かと思いきや、渡辺篤史氏本人のご自宅のことでした。
兎に角、冬、家が寒いという言うのです。
多分彼の家は、あれだけの建物を見ているので、結構有名な建築家に設計してもらったのだろうと思います。(私の想像です)
そして、家の構造は、RC(鉄筋コンクリート)だそうです。
特に北側が寒い。
これは、明らかにコールドドラフトです。

上の図は、窓の部分で室内の空気が冷やされていますが、RCの壁は、熱が非常に伝わり安いので、これと同じような現象になります。
即ち、壁で冷やされた室内の空気が、足元をスースー走るのです。
このコールドドラフトは、経験すると分かるのですか、非常に不快です。
室内全体の室温は、20度前後あっても、寒くて寒くて、仕様がありません。
この問題を解決するには、建物全体を断熱材ですっぽり覆うことが必要です。(外断熱)
しかし、渡辺氏によると、東京は土地が狭いので、隣地境界線ギリギリまで、建てているので、建物の外に断熱材を付加する空間がないそうです。
結局何も出来なく、不快な住居になって、『失敗しました』という、結論になったのです。
私は、彼の住宅は見たことがありませんが、多分、かっこよく、色々工夫があり、オリジナリティに溢れた住宅だと思います。
しかし、施主に失敗しましたと言わしめるものはなんでしょうか。
住宅は、デザインは、非常に大切です。
しかし、それと同じくらい、性能も大切です。(この場合は断熱性能)
有名建築家は、この断熱性能に無頓着な人が多いように思います。
いくら、かっこよくても、最終的に、施主に失敗したと言わせることは、その住宅は、失敗だったということに他ならないと思います。
時々、番組の中でのインタビューで
『何か不満がありますか』の問いに
『ちょっと寒い』
番組の手前、ちょっと寒いと表現していますが、テレビで言うくらいですから相当寒いんだろうなあ と、私は解釈しています。
あれだけ住宅を勉強している渡辺篤史氏でさえ、家づくりに失敗しているのです。
施主が、本当に満足する家づくりは何かを常に私達は、勉強していかなければならないと思っています。
最後に、次住宅を建てる時は、『私に相談にきなさい』と
鎌田先生からアドバイスを受けていました。
住宅は、建ててからでは、何ともしようがないのです。
by kakizaki
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