
和室の障子の上部から雨漏れするので、是非見てほしいという依頼がありました。
写真でも、分る様に、障子紙が、雨漏れで、シミになっています。
2~3年程前から、雨風が強いときに雨漏れがあり、大工さんが、何回が来て見たのですが、どうしても直らないとのことです。

サッシの上の庇の付け根や、外壁の亀裂部分をコーキングした跡がいっぱいありました。
しかし、原因は、窓の直ぐ上の庇ではなく、その上の屋根が入り組んでいる部分です。
上の矢印のように雨が流れ、壁の中に入っているのです。


屋根にあがって見ると、瓦の屋根と銅版の屋根が複雑にぶつかっています。
瓦屋根から落ちる雨だれで、銅版に大きな穴が開いていました。
銅版は、このように、穴が開きやすいので、最近は、ガルバリウム鋼板やステンレスを使用します。
また、瓦屋根の横樋が、多分雪で押されたのだと思いますが、受け金具が曲がり、逆勾配になり、複雑な屋根に向かって流れています。

一度屋根瓦を剥いで、谷をステンレス鋼板で施工しました。
これで、当分は、大丈夫だと思います。
私は、雨漏れ工事は、結構好きです。
特に、他の方がやった工事で、相談を受けると、非常に燃えてしまいます。
その原因を突き止めたときの快感は、何ともいえません。
私は、自分のやった工事や、相談を受けた工事で、雨漏れを直せなかったことは、ほとんどないと思います。
雨漏れの原因が分っても、その工事に多大の費用がかかる場合は、応急措置をし、いずれまた雨漏れする可能性があることを説明しておきます。
どんな立派な住宅を建設しても、雨漏れは、もっとも嫌われるクレームです。
この雨漏れを直すには、
①構造体の理解
②雨の流れる特性の理解
③雨漏れ工事への経験
④なんとなくこの辺があやしいなあと思う感
が必要です。
実は、私の感が結構当たるんですよ。
by kakizaki

銅版が腐食しやすくなったと各地の屋根工事店から聞いており当初酸性雨を疑っていましたが、最近ステンレスや瓦堅結用のステンレス釘の腐食などを耳にする機会も出始めています。
これは私の仮説なのですが、ステンレスなのの浸食が起こる場合は釉薬瓦よりも燻化により炭素を固着させる製法のいぶし瓦に目立つことから、最近では電食(いぶし瓦は電気を流します)を疑うようになりました。
庄内の場合、使用する瓦は釉薬瓦が大半なのでさほど心配には当たらないかもしれませんが(釉薬瓦は通常電気を流しません)、海岸線近くの塩が掛かる恐れのある地域や雨の降り始めと終わりの酸性雨のPHの違いで何らかの影響が出ている可能性もあります。
金属板の固定に別種の金属で出来た釘を使う場合も含めて、出来るだけ同種の金属に揃えた方が安全な気がしています。
(昔は水切りは銅板で瓦堅結も銅線ないしは銅釘が使われていました。酸性雨の問題以上に、影響を及ぼしている可能性があると感じています。)