オール電化

ヒートポンプ温水暖房は本当に経済的か?

先日、ある会場で、ヒートポンプ式温水暖房を紹介するイベントに参加してきました。

電力会社では、皆さんもご存知のように、オール電化住宅を薦めています。

その目玉商品が、ヒートポンプ式給湯機エコキュートです。

この商品は、従来型の電気の熱抵抗からお湯を沸かす電気温水器と違って、エアコンの原理を使って、大気中の温度を効率よく取り入れる温水器です。

従来型の電気温水器に比べ少ない電気量でお湯を沸かすことができます。

昨今、地球温暖化が叫ばれるため、躍起になって、エコキュートを推奨しています。

暖房機は、電気温水器同様電気の熱抵抗で暖める蓄熱暖房機しかありませんでしたので、同じ原理のヒートポンプ式温水暖房機を、メーカー各社が一生懸命開発中です。

ようやく、最近、その商品群が紹介され始めています。

その中で、【三菱エコヌクール】という商品のパンフレットを手にいれました。

設定

場所      山形市
総面積     119.5㎡
運転方法    24時間連続運転
設定温度    18℃
住宅性能(Q値) 1.9W/℃㎡


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ちょと見づらいのですが、各機種ごとのランニングコストの比較が載っていました。

三菱エコヌクール           172,548円/年   8,201kWh

灯油ボイラー              222,943円/年(68円/リットル)

都市ガス温水ボイラー式(割引)   304,666円/年(111.67円/m3)

LPガス温水ボイラー          627,037円/年(507.6円/m3)

と書いてあります。

これだけ見ると、一見ヒートポンプ式温水暖房が一番経済的にように見えます。

しかし、良く見ると、灯油の単価は68円/リットルですので、年間の灯油の消費量は、

222,943÷68=3278リットル
ということになります。

総面積が、119.5㎡でQ値が1.9の建物がこんなに悪いはずがないと思い、新住協で開発したQPEXを使って計算してみました。


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三菱さんに合わせてQ値1.903にしてあります。

面積も殆ど同じように、122.65㎡です。

場所も同じ山形市にしてあります。

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この時の年間の灯油の消費量は、1071リットルです。ですから、ランニングコストは、

1071×68=72,828円

で済みます。

三菱さんが計算した結果の約33%で済みます。

これは、一体どういうことなのでしょうか。

また、三菱エコヌクールと比べても、約42%の灯油代で済みます。

だいだい、この程度の面積の住宅でQ値が1.9で灯油を3000リットル以上使うような住宅で、高断熱住宅なんてありえません。


余りにも、数値がおかしいのでもっと正確なデータを出してほしいものです。

しかし、この結果からも分かるように、

ヒートポンプ式温水暖房機は、灯油ボイラーに比べランニングコストが約2倍以上高いことが分かりました。

まだまだ、空冷式のヒートポンプを採用するには、機械の効率を上げる必要がありそうです。

もし、今程度の機械を採用するならば、もっとQ値の低い建物でないと経済的ではありません。

ヒートポンプと書けば全て経済的もしくはエコロジーであるかのような宣伝は慎むべきだと思います。

オール電化については、NPO法人の気候ネットワーク全国市民会議(CASA)が詳しく書いていますので、参考にして下さい。

by kakizaki


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最近のオール電化の傾向

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前回登場してもらった、三浦秀一准教授(東北芸術工科大学)の資料を参考にさせて頂きます。

オール電化住宅(電気温水器+蓄熱暖房機)の年間の二酸化炭素の排出量は

電気温水器   3735kg/世帯・年  (灯油ボイラー 1992kg/世帯・年) 

蓄熱暖房機   8038kg/世帯・年  (灯油ボイラー 4387kg/世帯・年)

と、灯油ボイラーの約2倍の二酸化炭素を排出しています。

給湯機を省エネルギーと言われているエコキュートに変えても、蓄熱暖房機が出す二酸化炭素が非常に多いので、全体では、まだまだ、排出量が減りません。

エコキュートの効率を表すCOP2で、はじめて通常の石油ボイラーと同じ性能ということになります。

COP3とか4とかの数字が本当であるならば、石油ボイラーより、二酸化炭素の排出量は少ないと言えるのですが、どうも怪しいらしい・・・

最近は、蓄熱暖房機が二酸化炭素を多く排出する事を認めざるを得ないのか、電力会社は、ヒートポンプ式の暖房機(エアコン)を薦めているようです。

しかし、ここでまた一つ疑問が生じます。

本来オール電化住宅は、深夜電力の安い料金を使うことを前提に考えています。

しかし、通常のヒートポンプ式暖房機は、蓄熱式タイプではありませんから、日中在宅する人が居れば、必ず、通常より高い電気料金で暖房するということになります。

ちょっとこれは、電量料金が高上りになりそうです。

そこで、仙台のあるハウスメーカーは、安い深夜電力でヒートポンプで暖房し、日中は、その暖気で過ごすように薦めていました。

仙台のように、冬の日中の日差しが強い地方ならそんなことも可能かも知れませんが、ここ山形県のような地方では、非現実的です。

まして、我が家のように、日中老人が在宅しているような場合は、必ず何らかの暖房をしないと生活は無理ですので、ヒートポンプ式の暖房は、あわないといえます。

夏場、エアコンを運転すると電気代が急に上がりますよね。その状態が一冬続くということになるのです。それも、通常より高い電気料金で。

考えただけで、恐ろしくなります。

このように、オール電化ありきで、出発すると、どんどん変な方向へ進んでしまいます。

ここは、ちょっと冷静に、本来の省エネルギーとは、何ぞやともう一度考える必要がありそうです。

by kakizaki

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この家オール電化ですか?

 完成内覧会に初めてきたお客様は、だいだい

『この家オール電化ですか?』と尋ねていきます。

『いいえ、違いますよ。』と返答すると、ちょっとガッカリしたような表情をされます。

お客様の気持の中には、『今時、オール電化住宅でなきゃダメだ』という思いがあるのだろうと、思います。

そして、『なーんだ、オール電化もできないのか』と、解釈されるのだと思います。

オール電化住宅をつくるのは、はっきり言って簡単です。

しかし、CO2排出量の少ない住宅を造るのは結構難しい のです。

技術的なこともそうですが、建物価格がどうしても上がってしまいますので、理解を得るのが大変です。

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新住協提供


上のグラフは、オール電化住宅の説明をする際に、時々登場してもらうグラフです。

オール電化住宅(電気温水ホイラー・蓄熱暖房機使用)の場合は、灯油の設備を使った場合より、年間のCO2を多く出しているのです。

多くの方は、この事実を知りません。

テレビでは、オール電化住宅は、省エネルギーのような印象を受けるコマーシャルを流してしますが、今の現状の技術のオール電化住宅が増えれば増えるほど、CO2を多く出す住宅が増えているのです。

電気代が安くなるので、そんなことはないだろうと思うしょうが、深夜電力を意図的に安くしているだけで、消費エネルギーは、増えているのが実態です。

どこの住宅会社も、前住んでいた住宅の光熱費の比較表は、出すのですが、CO2計算したものは、一度も見たことがありません。

CO2が減っているオール電化住宅があったら、是非教えてください。

あるとするならば、相当の設備をかけているはずです。

例  太陽光発電
   地中熱ヒートポンプ
   燃料電池
   など

国の政策もあるので、さすがに電力会社も、これではいかんと思い、給湯ボイラーは、ヒートポンプ式のエコキュートを出しています。

が、年間効率が、カタログ通りの出ているかは、はなはだ疑問です。

こんなことを書くと、私は、反オール電化主義者のように思われますが、実は、いつかはオール電化になるだろうと思っています。

しかし、現在一般的に採用されている設備ではなく、確実にCO2を少なくする設備を使っての話です。

技術が進んで、だんだん現実味を帯びてきています。

その最先端技術の一つが燃料電池だと思います。

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上のグラフでもわかるように、CO2排出量が約45パーセントも削減できるようです。

早く、こんな設備を使った住宅を造ってみたいものです。


by kakizaki

オール電化への対応

 5月23・24日に新住協の総会に出席しました。

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盛岡市民セミナーの様子ですが、暗くてよく分りませんね。

 その会の仲間の高橋工務店さんと一緒にお酒を飲む機会があり、色々建物に対する思いを聞かせていただきました。同じ住宅会社を経営する身として、非常に参考になる会話をさせていただきました。

 高橋工務店さんのHPにはオール電化への対応をハッキリと書かれています。

 この件を質問したところ、ご本人は、ハッキリ言うことにより『すっきり』したと言っておりました。

 高橋さんが、おしゃっている事は、ごもっとな事で、まさしく新住協が目指す方向性でもあります。

 同じ新住協の仲間でも、いわゆる一般的なオール電化に取り組んでいる会社も沢山あります。
 

 新住協としても、その辺のことは、交通整理をして頂きたいと私も常々思っています。

 私も、オール電化への考え方については、カテゴリーのオール電化に書いていますので、是非参考にしていただければと思います。

 地球温暖化が叫ばれる昨今ですが、うたい文句ばかり先行し、実態は、まったく伴わないケースが非常に多くあります。

 本当の省エネルギー住宅は何がを自問自答し、社会に貢献できる企業になるように努力してゆきたいと思っています。
 
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オール電化誤解3「オール電化だから環境にいい?」

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「電気だから空気を汚さない」というイメージがありますが、本当でしょうか。

上のグラフでも解るように、電源の約半分が、天然ガス・石油・石炭の火力発電所でつくられています。

大氣汚染の問題は、工場火力発電所自動車などの汚染物質の排出が主な要因であることを忘れてはいけません。

確かに、最近は、エコキュートなど、環境にいいと認められるものも増えてきていますが、オール電化が環境に優しいのではありません。

自宅で、化石燃料を燃やしていなくても、海の近くの火力発電所で、バンバン二酸化炭素を出している のです。

誤解のないように!
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